学資保険ってほんとうに必要?

「子どもが産まれたら学資保険に入ったほうがいいよ」と言われたり聞いたことがある人も多いのではないでしょうか

子どもの教育資金はいつまでにいくら必要なのかを明確にし、コツコツと準備することが大切です。

様々な貯蓄方法がある中で学資保険という選択肢を一度は考える人はとても多いと思います。

今回は、教育資金を貯める方法のひとつである学資保険について解説していきます!

目次

学資保険とは

学資保険とは、『子供の教育資金の準備と、親の万が一に対する保障を目的とした貯蓄型の保険』です。

学資保険には以下のような特長があります。

  • 子供の進学にあわせてお祝い金や満期保険金が受け取れる
  • 親に万が一のことがあっても支払いが免除され、満期保険金も受け取れる
  • 契約者が基本は親である

子供の教育資金は幼稚園から大学卒業まで約1,000万円かかるといわれています。いつまでにいくら必要なのかをしっかりと明確にしたうえで、計画的に準備していくことが大切です。

それでは、学資保険のメリット・デメリットについて解説していきます。

学資保険のメリット

学資保険を上手に活用するためにはメリットを知っておく必要があります。

ここでは学資保険の4つのメリットについて解説します。

着実に貯蓄できる

まず、学資保険は着実に貯蓄できるメリットがあります。

自分で口座に貯蓄しなくても自動的に引き落とされるため、家計に貯蓄の仕組みを作ることができます。

「貯蓄は余ったお金でしよう」と考えている人は、つい使いすぎてしまい思った以上に貯められないなんてこともあるかもしれません。

学資保険であれば、貯蓄が苦手だと感じている方でも保険料を支払い続けるだけで着実に貯蓄できます。

万が一の場合の保障が得られる

学資保険は保険商品であるため、万が一の場合に保障が得られます。

契約者は親ですが、万が一のことがあった場合は、それ以降の保険料が免除され、お祝い金や満期保険金の支払いは予定通り受け取ることができます。

生命保険料控除の対象になり節税効果がある

学資保険で支払った保険料は、生命保険料控除の対象になるため節税効果があります。

一年間に支払った保険料のうち、一定額を年間所得から控除することで、所得税と住民税を減らせる「一般生命保険控除」に該当します。

控除額の上限は、所得税で40,000円、住民税で28,000円です。

会社員は勤務先の年末調整、個人事業主やフリーランスでは確定申告での手続きが必要です。

預貯金より貯蓄の効率がいい

学資保険では、一般的に預貯金よりも返戻率がよくなる可能性があります。

返戻率とは、支払った保険料総額に対し満期保険金とお祝い金が合計でいくら受け取れるかの割合を示したもので、以下のように求められます。

「返戻率(%)=[満期保険金+お祝い金]÷保険料総額×100」

返戻率は保険会社によって若干異なりますが、預貯金の金利よりも高くなる可能性があります。

ただ預金するよりも増やしたいと思う人は、学資保険で教育費を積立てるとよいでしょう。

学資保険のデメリット

いざ学資保険に加入したものの「思ってたのと違う!!」と後悔したくはありませんよね。そのためにはデメリットも知っておきましょう。

代表的なデメリットを4つ解説していきます。

返戻率の低さ

学資保険は、預貯金と比較すれば貯蓄性は高いものの、高利率といえるほどではありません。

近年の学資保険における返戻率は高くても110%前後で、多くの学資保険の返戻率は102〜105%程度になっています。

具体的な例として、返戻率を102%としたときの満期保険金のシミュレーションは以下のとおりです。

300万円貯蓄した場合では、「300万円×1.02=306万円」という計算になります。

300万円が306万円になるので、たった6万円しか増えていません。

返戻率が比較的高い110%を超えるような商品もありますが、コツコツ貯めるというより大きな金額を短い期間で払い込むという保険料負担の大きいものになります。

インフレのリスク

学資保険はインフレと相性が悪く、不利になる可能性があります。

学資保険の利率は景気の影響を受けず、一定であるからです。

たとえば15〜20年かけて保険料を支払っている間にインフレが起きたとします。

学資保険の返戻率は先述したように低いため、インフレが起きれば受け取る満期保険金の価値は相対的に下がってしまいます。

つまり、インフレによって物価が2倍になれば、満期保険金の価値は1/2になってしまうということ。

現在の日本は物価が上がるインフレが発生しています。

このタイミングで学資保険が満期を迎える人は、若干不利に感じてしまうかもしれません。

経済は基本的に状況が変わるものです。十数年後にどのような状況になるかを確実に予測できる人はいませんが、学資保険に入るときは「インフレになった場合は不利になるかも」ということは理解しておいた方がいいでしょう。

早期解約すると元本割れする

詳細に資金計画を立てていても、家庭の状況は変わるものです。

学資保険では、早期解約すると元本割れする可能性があります。

元本割れとは、支払った金額よりももらう金額の方が少なくなってしまうこと。

解約時期が早いと元本割れの可能性はより高くなり、損失割合も大きくなってしまいます。

そのため、緊急で資金が必要になっても解約を我慢しなければなりません。

お金を自由に引き出せない

学資保険は契約期間中にお金を自由に引き出せないデメリットがあります。

保険料の支払いが負担であれば減額することもできますが、もともとの資金計画と異なってしまうことを考えると、あまりおすすめできません。

どうしてもお金が必要になったときは解約しないと手元に戻ってきませんが、先述したとおり早期解約では元本割れの可能性もあります。

自由に引き出せないことをしっかりと理解したうえで、学資保険に加入する必要があります。

学資保険が必要な人の特長

学資保険が必要な人の特長を3つ解説します。

計画的な貯金が苦手な人

計画的に貯金できない人は、学資保険が必要だと考えましょう。

教育資金は多額になり、日頃から貯金しておかないと入学金などまとまったお金が必要なときに対応できなくなるからです。

幼稚園から大学卒業までに必要な教育資金は約1,000万円といわれていますが、これはすべて国公立に進学した場合です。

幼稚園から大学までをすべて私立にすると、およそ倍の2,000万円にまで膨らんでしまいます。これほどの大金を短期的に用意するのは難しいものです。

計画的にコツコツと貯められない人は、自動的に貯蓄できる学資保険はおススメです。

子どもを大学に通わせたい人

子供を大学に通わせたい人も学資保険に加入を検討してみてはいかがでしょうか。

教育課程でもっともお金がかかるのは大学です。

学資保険の多くは18〜20歳に合わせて満期がくるようになっているため、入学金や毎年かかる授業料にあてることもできます。

一番必要な時にまとまった金額が手元に戻ってくるため、大学進学を考えるのであれば、学資保険がおすすめです。

子どもがまだ産まれていない・産まれて間もない人

子どもがまだ産まれていない、もしくは産まれて間もない人には、学資保険の加入をおすすめします。なぜなら早く加入したほうが月々の保険料が安くなるからです。

たとえば18歳までに保険料を200万円支払うと仮定し、子どもの年齢が0歳で加入するのと7歳で加入する場合で考えてみましょう。

0歳で加入する方が保険料を支払い期間が長くなる分、1回あたりの支払額は少なくなるのがわかると思います。

子どもが産まれることがわかれば、早めに教育資金を意識しておくとよいでしょう。

学資保険が不要な人の特長

続いて学資保険が不要な人の特長について解説します。

すでに教育資金の貯蓄ができている人

すでに教育資金の貯蓄ができている人にとって学資保険は不要です。

預貯金を崩しながら教育資金にあてればよいからです。

教育資金がすでに用意できているなら確保しておき、その他を別の出費にあてていけばよいでしょう。

計画的に貯蓄ができる人

学資保険は自動的に保険料を支払う仕組みであるため、貯蓄が苦手な人でも強制的に貯まる特長があります。

普段から計画的に貯蓄ができる人は、強制的な仕組みを使う必要がありません。

具体的には以下に該当する人です。

  • 自身や配偶者の収入(給与・ボーナスなど)を把握できている
  • 家庭の支出がしっかり把握できている
  • 先取りで貯蓄して残りのお金で生活できている
  • いつまでにいくら必要かが明確になっている

こういった人は計画的に貯蓄ができているため、学資保険に頼らなくても教育資金の準備で問題が起こることはないでしょう。

リスクを取って資産を大きく増やしたい人

学資保険は返戻率が高くないため、ハイリターンは望めません。

リスクを取ってでも資産を大きく増やしたい人であれば、学資保険は不要です。

株式投資・FX・仮想通貨といった比較的リスクの高い投資なら学資保険よりも大きく増える可能性があります。

もちろんその分損失を出すリスクも高くなるため、どこまで許容できるかを決めておくことが必要です。

学資保険を選ぶ際のポイント

学資保険を選ぶ際の、4つのポイントについて解説していきます。

加入する目的を決める

学資保険を選ぶ際の重要なポイントは、加入する目的を決めることです。

何のために加入するかが決まらないと、どの商品を選んだらよいのかわからないからです。

リスクを取ってハイリターンを狙いたい人や、短期間でまとまった金額がほしいという人には向いていません。

学資保険の主な加入目的は、以下のものがあります。

  • 子供の教育資金をコツコツ貯める
  • 親に万が一のことがあったときに教育資金を保障する

大きなリターンはないものの「着実にコツコツ貯めたい」「自分に万が一のことがあっても子どもを大学に進学させたい」という目的があれば、学資保険はピッタリでしょう。

返戻率

返戻率も、学資保険を選ぶ際の重要なポイントになります。

返戻率によって最終的な満期金の額が左右されるので、学資保険を選ぶ際の重要なポイントになります。

返戻率が高いほど満期金の額も大きくなるため、できるだけ高い商品を選んでおきたいものです。

中には返戻率が100%を下回る商品もありますが、医療保障などが付いており、手厚い保障が受けられるなどの特徴があったりもします。

「必要な保障が十分ある」「不要な特約がないか」などを確認し、ニーズにあった商品同士を比較してから返戻率のより高いものを選びましょう。

いつ・いくら受け取れるのか

学資保険では、商品によって保険金をいつ、いくら受け取れるのかが異なります。

例えば200万円を受け取るとして、

  • 大学入学時に200万円すべて受け取る
  • 18~22歳の5年間で毎年40万円ずつ受け取る
  • 小学・中学・高校の入学時にお祝い金として10万円ずつ受けとり、大学入学時に残りを受け取る
  • 22歳で200万円受け取る

上記のように様々な受け取り方があります。

大切なのは、まとまった金額がいつ必要になるかをはっきりさせることです。

せっかく大学の入学金を確保するために入ったのに、入学後の受け取りになっていたなんてことがないよう、学資保険の加入時には将来の受け取りがいつになるか確認しておきましょう。

保険料の払込期間

保険料の払込期間は、短いほど返戻率が高くなるものです。

しかし期間が短いほど1回あたりに支払う金額は多くなるため、毎月の収支を把握したうえで無理のない払込期間にする必要があります。

払込期間は、以下のように保険金の使い道を明確にすると決めやすいといえます。

  • 18歳まで:月の支払金額をおさえ、大学進学前までコツコツと貯める
  • 15歳まで:私立高への進学や、大学入試に備えての塾代などにあてる
  • 10歳まで:中学・高校での部活動や食費、おこづかいなどの出費にそなえて早めに貯める

といったように、各家庭の状況に応じた使い道から、払込期間を決めるとよいでしょう。

学資保険の特長を知り家庭にあった方法の選択を

いかがでしたでしょうか。

今回は学資保険のメリット・デメリット、必要・不要な人の特長、選ぶポイントなどについて解説しました。

学資保険はあくまで保険であるため、大きな収益性を期待するのではなく「万が一何かあった時」を想定して取り組むべき商品です。

貯蓄の方法はさまざまですので、目的と必要金額を明確にしたうえで、最善の選択をとれるようにしましょう。

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